第20話

適当というには、あまりにも多すぎる監禁ゲームのケースを私の前に積み上げて見せる王子。ざっと三十冊はある。




(し、真性かよ!)




私はめまいを催してくる。だけど、監禁されている立場上、全ての決定権は王子にある。




(ぎゃー!いやー! 誰か助けてーーー!!!)




心で叫び、必死に身をよじり逃げようとする私の洋服をどんどん遠慮なく剥ぎ取ってゆく王子。




しかし、私がパニクるのもつかの間、王子の表情があっという間に曇る。手錠があるせいか、王子はなかなか洋服を脱がせ切れないようだ。何度チャレンジしても、いっこうにうまくいかない。やがて、王子は大きくため息をついて、




「やっぱ、やめた」




と一言。その場に両足を投げ出した。




王子の投げやりな言葉にふいに安堵する私。しかし、それもつかの間、続く言葉に私は翻弄される。




「ま、エイズが怖いし。うっかりはらむと面倒だしな」




王子の言葉に、頭にかっと血が登る私。そうして、次の瞬間には私は王子を押し倒し、自らの口で王子の唇をこじ開け、舌先をねじ込んでいた。驚いた顔の王子をシカトして、ひたすら唇をむさぼる私。




(監禁までされて、あげくここまで脱がされて、指一本触れられないなんてありえないってぇーーーの!)




それは女としてのプライドだったかもしれない。唾液をふんだんに用い、わざとやらしく音を立ててみる。皮肉にも王子の無欲の勝利である。




やがて、私のあおりに王子もその気になったのか、私を押し倒してくる。




明るい部屋の元、響く二人の息遣い。

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