四章:監禁とくれば

第19話

エビの赤い尻尾を残し、全てを跡形もなく胃袋へとおさめ、いたく満足している私に向かい、王子が唐突に言った。




「エッチなことしようか?」




「い!」




「だって、監禁とくればそうでしょう?」




平然と言ってのける王子。




私はすっかり王子をあなどっていた。監禁されているってぇのに、緊張感がてんで無かったのもそのせいかもしれない。ゴハンをたらふく食べれたのも、うたたね出来たのも、ずっと王子が私に背を向け、パソコンのディスプレイにばかり向かっていたからだ。




パソコンにしか興味がない男だと思っていたら…甘くなかった!




私はじりじり後ずさりしながら必死になって叫ぶ。




「監禁は初めてだって言ったじゃない!」




元々、そういうこともあるかななんて、勝負下着を着けてきてるけど、これは今のあんたに見せる為のもんじゃない! 上下もそろいだし、比較的新品だし、値段も高めでレースも上等だし、デザインもお気にだし、下着としては、ちっとも見せても構わないけど、けど、こんなニートな監禁野郎には絶対見せたくない! そんな微妙な女心をちっとも察しない鈍チン王子が言う。




「まぁ、キミが監禁監禁って、大騒ぎするから、そんな気になっちゃった」




と、ちっとも悪びれずに王子。書棚から何かを取り出してくる。




「本物の監禁は初めてだけど、ゲームは適当にやったことがあるから。まぁ、バーチャルゲームでは監禁経験ありってとこかな?」

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