第14話

と王子。私はなすすべを無くし、茫然自失。監禁されてしまった女は、どうするのだろうか? それは分からない。私はまだ、監禁されたての女なのだから。




巷で流れるニュース。その中にまぎれているいくつもの監禁ニュース。その被害者女性と今、私はそっくり同じ状況下にいる。まるで夢のようだ。むろん、断じて見たくはなかった、悪夢ではあるけれど。




やがて、王子は監禁女の相手をするのに、すっかり飽きてしまったのか、私をほったらかしにしてパソコンのディスプレイを眺め始めた。また、コミュニティーを管理しているのか? 一体、他にすることはないのだろうか?




そうして、もっとすることのない私は、とりあえず王子に尋ねてみることにした。なるたけ、王子を刺激しないよう、出来うる限りの穏やかな声で。これもある種の防衛本能だだろうか? そうして、こわごわ口を開く。




「あなたは、いつもこんなことをしているの?」




「こんなって?」




振り向きもせずに王子。そんなにパソコンが好きかよ!




「サイトユーザーの女の子を捕まえて、監禁するみたいな」




少し間をもたせ、王子。返答する。ちょっとだけ意外な返事だった。




「ああ、いや、キミがはじめてだよ」




そこまで言うと、王子は私を振り返り、苦い笑いを浮かべ言った。




「だって、キミしつこいもの。大抵のユーザーは僕とどうにかなろうとは思わないんじゃないかな?」

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