第13話

「…これ、監禁って言うんでしょう?」




私は、恐る恐る王子に尋ねてみる。




後ろ手に回された両手首が窮屈だ。手錠をはめられた直後は、金属特有のあのひんやりとした感触にぎょっとしたものだが、そこは、熱伝導率のよい金属製、あっという間に私の体温によって温まってしまった。今はただひたすら窮屈なだけな代物だ。




そうして、首輪。散歩する犬のように伸びる丈夫な組みひもが、つくりつけの家具のブロンズの装飾につながれている。人間なのに首輪だなんて、なんて滑稽なのだろう。手錠と首輪、これで私は自力で、ここから一歩も逃げ出せなくなってしまった。




「さぁ、どうかな?キミがそう言うなら、そうかもしれないね」




王子はやけに淡々としている。そうして、メガネの奥から、私をあまり興味なさ下に見下ろす。




「こんなことをして、ただで済むと思ってるの?!」




大声で王子を糾弾する私。




それを見て、なぜか口に手を当て、ひき笑う王子。そうして、王子の口からこんな指摘が続いた。




「大きい声を出せば、助けが来ると思ってるんだろう?」




ぎく! この男なかなか鋭い。




ホンネをまんまと見抜かれた私は、途端に言葉につまる。王子はますますゆとりの表情で笑う。




「このフロア全体が貸切だから、無駄だよ。助けなんて来やしない。それに、ここは防音が行き届いているからさ」




そう言いながら、床を右足で2、3度派手に踏み鳴らして見せる。そのあまりの音に、私の全身を軽いおびえが走る。しかし、


それを王子に気取れぬよう、表情を取り繕う私。




「階下にも音は届かない。これでも、そこそこの高級マンションだからさ。親父のヤツが奮発して作ったんだ」

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