第12話

「さぁ、それはどうかな? 女の子はうわさ好きだから、キミが話そうとしなくても、根掘り葉掘り僕のことを聞き出すかもしれない」




こんな時に限って饒舌な王子。そのテンションで、もっと早く私に話しかけてくれればよかったのにとも思う。




そうすれば、ウソっぱちの写メはともかくとして、お友達くらいにはなれたかもしれない。だけど、こうまで気まずい空気しか流れぬ二人の間には、それも無いだろう。




王子は私が他の女の子のユーザーたちに、私たち二人の関係を話していないことを知らない。口端をゆがめる王子。




「王子が、王子だなんて真っ赤な大嘘! ってね」




「それ…」




王子の口から、王子という単語が出てきたことに私は驚く。その私の驚きの表情を見越していたのか、こう言葉繰り出す王子。




「僕は何でも知ってるよ。コミュニティーの管理人なんだから、僕がみんなにどう呼ばれているかくらい知っているさ」




どこか、怪しげな光を帯びる王子の瞳。




「僕がユーザーたちの王子様であり続けるには、キミの口から僕の個人情報が漏れるのを防がなければならない。キミは見てはならないものを見てしまった」




そう言い終える間なしに、王子は暑苦しい体で私に覆いかぶさってくる。驚き、身をよじる私。そうして、ふいにひやりとする私の両手首。小さな金属音がして、とたんに窮屈となる。




「悪いけど、キミを帰すわけにはいかなくなった」




私は王子に監禁された――




後ろ手に両手首にはめられたのは、金属の手錠だ。

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