三章:本題です。問題です

第11話

昼食後、さらに一時間、もしかしたらと着込んできた、勝負下着もすっかり無駄になってしまった。




そろそろと、腰を上げようと私が思った時だった。つい今しがたまでパソコンのディスプレイを眺めていた王子が私を振り向いて、苦笑いをしながら言う。




二人の間に漂っていた空気で、いい加減察知したのだろう、どこか自嘲的だ。




「僕がこんな有様でがっかりしただろう?」




首を横にふる私。これが大人としてのマナー。最低限の。




「写真で見たイケメン顔とも違うし、デブで、メガネで、額もハゲかかっている。おまけに、やたら無口でつまんないオトコ…」




どう応対していいのか分からずとまどう私に、王子は続ける。




「キミは、今日の出来事を僕のサイトのユーザーたちに話ちゃうのかな?」




メガネの奥の瞳をいわくありげに細める王子。




「そんなこと…」




と、私は目を伏せる。王子の追撃が続く。

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