第9話

王子に手渡された数冊の雑誌を手にし、私はぼんやりとダイニングに立ち尽くす。




(ひょっとして…私、放置ですか?)




二人の無言の間に、ひたすらに響き渡るパソコンの回転ファンの音。何十分経ったろうか? 私が手持ち無沙汰で、手渡された雑誌をパラパラとめくっていると、突如王子。




「僕と一緒にいてもつまんないだろう?」




パソコンのディスプレイを見つめたまま、そんな風に私に軽くジャブを入れてくる。





本当につまんなかった。





ゆえに、私はうっかり否定しそこねる。図星だっただろうか、答えるタイミングを逃してしまった。




何を会話するでもない王子は、パソコンに向かいコミュニティーを管理し、私は王子に手渡された雑誌をめくる。それも、さして興味もわかぬ青年雑誌。




ここはまるで、インターネット接続の整備された漫画喫茶みたい、そう思った。そうして、私たちはそこへ別々へ訪れたカフェのユーザー。カップルシートに座るでもなく。




パソコンの画面を眺め、無言でメールチェックをする王子。流れるようなタイピング音が静かにそうしてリズミカルに響く。ああしていつもコミュニティーを管理しているんだなどと、ふと脳裏をよぎる。




「来なきゃよかったって思った?」

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