第7話
だけど思う、私たちは王子にちょっと期待しすぎていたのかもしれない。大きなコミュニティーを管理している、それも、一つの立派な長所ではあるものね。
それプラス『イケメン』プラス『御曹司』を期待していたなんて、ちょっと虫が良すぎたのかも……
それにイケメンなら、引く手あまたで、コミュニティーを管理する暇なんてないでしょうに。なんてたって、完全無欠の無料のボランティア・コミュニティーなのだから。むしろ暇人?
そう思うと、王子の嘘も、まぁ許せてきた。
ともすれば、ネットの出会いにおいては、致命傷的な嘘ではあるのだけれど。マンションは本物っぽいし、そう思い巡らせながら、
私はぐるり部屋を見回す。しかし、そうやって改めて落ち着いてみると、会話が続かない。
気まずいままに私は王子に出されたコーヒーに視線を落とす。
混ぜやすいように利き手にセッティングされたカップの取っ手と、スプーンの柄。ミルクとシュガーを半分入れ、カップに口をつけると、ほど良いのみ心ごこち温度、男のクセにイヤに気が利くわね。
王子の視線を感じ、私はお愛想がてらに、薄ら笑いし、再び一口。王子は何も言わない。無言でどうやら私を観察しているらしい。コーヒーが出ているからまだしも気まずいったらありゃしない。
ちびちび時間延ばしで飲んでいたにも関わらず、とうとうカップの中身を飲み干してしまった。
王子はその一部始終を眺めていたかと思うと、私がカップを置いたとたん、すっと視線を落とし、また無言。
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