第6話
リビングのソファーで初の対面を果たし、すっかり言葉を無くしている私に王子が一言。
「何か言いたげだね…写メと違うって言いたいんだろ?」
「い、いえ、多少ふくよかかな…って…」
図星な質問にかろうじて愛想笑いを一発。だけど内心は、表向きの笑顔とは裏腹に怒り浸透。
(多少なんてもんじゃないわよ! 別人よ! 別人!!)
私は心の中で叫ぶ。
しかし、そんな感情などおくびにも出さぬよう注意する。ただし、本当に不満を表情から見事隠しおおせていたかどうかは自信がないけれど。
多少バツが悪そうな王子。私から視線をそらし、軽く目を伏せる。そりゃそうでしょうよ。再び私を見返し、軽く口端をゆがめながら言う。軽い薄ら笑いだ。
「あれは、数年前の写真だからさ。コミュニティーの管理に追われている間にこんなていたらくさ。まぁ、数年前の一番イケてる写真をプロフィールに使うなんてのは、ネットではよくあることさ」
(にしたって王子、限度があるでしょう?)
私は内心ため息。むろん、おくびにも出さない。
どうりで会いたがらないハズだわ。実はこのマンションデートも、私が半ば強引にこぎつけたのだ。コミュニティーの管理が忙しいからの一点張りだった王子。
「だったら、王子の自宅でもいいわ!」
なんて言ったのは私だ。
「お料理つくってあげますよ!」
なんて、かわいらしい笑顔声で、女の武器を駆使して。
ついでに、王子のご両親の財力もチェックしたかったから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます