第4話

王子と会う。ついに会う。




デートの場所は王子のおうち。王子のお城。なかなかの規模のマンションを私は見上げていた。




「ここが、王子のお城かぁ…」




ぽつりつぶやいた私は慌てて口をふさぐ。




王子というのは、あくまでも仲間内ユーザーで呼んでいるあだ名なのだ。いわば隠語。王子は自分が王子などと呼ばれていることはちっとも知らない。




そうして、王子と私が今、いい仲になりかけているというのは、みんなにはナイショだ。まるでおくびにも出さず、私はこれまでどおりコミュニティーを利用している。




きっちり、二人の仲が確定してからじゃないとね。二人の仲を邪魔してくる女が現れぬとも限らない。ヘタな隙は作れない。念には念を入れないと。

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