第47話
女性陣の顔がますますどっちらけてくる。
何を言うでもない、だが、その無言が大輔の心のさざめきを煽る。
「だって…あるんだぞ! ごまんと! ネットで無料で見れるんだぞ! タダだぞ! タダ!」
言葉を詰まらせながらも大輔は必死に訴える。両手を大きく振り回し、必死の自己弁護だ。
「な、お前らだって見てるだろ? な、そうだよな! だって、あんだけネットにあるんだぞ、あんだけ…」
大輔は、IT田中の肩をもったり、斉藤や大山を振り向いたりしながら、必死のジェスチャーで助け舟を求める。しかし、芳しい反応が見えないとみるや、すぐさまキレたよう叫び始めた。
「一体何のためにあるんだよ! ニーズがあるからだろ? 見てるやつがいるからだろ? なんだよ、そんなにアダルトサイト見るのがわりーのかよ、男なら誰だって女体にすこぶる興味があるんだよ! 女の裸が好きなんだよ。見てーんだよ! 見てーに決まってんだろ! 田中だってそーだぞ!!」
唐突に話を振られ、一瞬びくりとしながらも、すぐに落ち着きを取り戻した田中が、眼鏡フレームを押さえながら言う。
「いや、僕は…そうでもないですから」
そうして、あらぬ方向へと顔をそらす。
「おい、田中ずりーぞ!!!」
すぐさま風向きを察知し、大輔と目を合わせまいとするその他の男性陣。その動きを機敏に感じ、思わず叫ぶ大輔。
「おい! 斉藤目をそらすな! 大山まで!!」
すっかり援護射撃を失ってしまった孤立無援の大輔に向かい、女部下、森里が駄目押しの一言。
「笹木さん、ちょっと見損ないました。そんなアダルトサイト見るのを開き直られたらねぇ。可愛くないですよ」
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