第46話

IT田中がお気に入りリンクのリストを読み上げる途中で呆れ顔で口にする。




「このグッドジョブ! 2、3ってのもやっぱり?」




と大山、ディスプレイを覗き込みながら突っ込む。




「シリーズ12まであるのね」




こちらは女部下の森里、ちらりと冷ややかな視線で大輔を見やる。




「え、ええ、はい…そうです」




恐縮しながら、すっかり肩をちぢこまらせる大輔。両手をそろえ、消え入りそうな声で言う。




「これ、あれっすね! こんなに一杯よく集めましたね。無料のアダルトサイトばっか」




と斉藤までもが呆れ顔で言う。そんな斉藤に腕組み、美鈴も苦笑いをしている。




「まぁ、ね。お金が掛からないし、AV借りにくのもちょい恥ずかしいし、ビニ本もあれだしね」




もーれつにバツの悪い顔をした大輔に女性陣たちがしらーっとした視線を送る。主に女部下の森里と、花子だ。




いつになく視線の移動が多い大輔、居残った訪問者たちの表情のささいな変化をもついつい神経質に探ってしまうのか。すぐさま女性陣の冷ややかなる視線を察知し、悲鳴をあげる。




「お、おい、なんだよ! その目! 別に浮気してるわけじゃないんだから、いいだろ! いいじゃねーか! アダルトサイト見るくらい」

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