第44話

花子の叫び。泣き出す。ハンカチを取り出し、メイクを崩さぬよう涙をぬぐいだす花子。そんな花子の肩に慰めるかのよう、一人だけ女部下の森里未央がそっと手を添える。周囲の視線がみるみる非難を帯びてくる。その視線の刺さる痛さに耐え切れず、片手をハイ!とあげ、大輔が焦って口を開く。




「す、すみません! アダルトサイト見てました!」




「え?」




周囲の視線に軽くきょどりながらの大輔。




おどおどを隠しながら、わざとのびやかな声を演習するも、いっこうにサマにならぬ。




「い、いやー! 別に隠すことはないんだけどさー。無修正とかさ、ついねー。はは! つい、酒の肴にね。めんぼくありません」




そう言って大輔は頭を一気に下げる。途端に拍子抜けしそうな空気。しかし、花子は相変わらず眉間にシワを寄せ、口を開く。




「う…うそよ! そうやって私を丸め込むつもりね!!」




「じゃあ、見ろよ! 実際に見てみろよ!!」




一向に信じようとせぬ花子の言葉に、半ばキレ気味の大輔。大輔の言葉を合図に、書斎に訪問者がぞろぞろと大移動を始めた。




そうして、パソコンの得意なIT田中の操作を筆頭に、訪問者一同で大輔のパソコンを一斉に覗き込む。そして、大輔が普段見ているというアダルトサイトをチェックし始める。

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