七章:クライマックス

第43話

「というわけでだ、オレは浮気なんてほんっとしてないから!」




リビングのソファーでそっぽを向きふてくされている花子の両手をつかみつつも、大輔が脇で身を乗り出し必死の形相で訴える。


もはや周囲の傍観者たちなど、一切目に入らないといった様子だ。




しばしうつむき、沈黙を保つものの、花子がフイに大輔を見上げ攻め立ててくる。大輔の両手をムゲに振り払いながら、




「じゃあ、じゃあ、あれはナニよ! 私があなたの書斎を覗いたら、パッとパソコンの画面を変えて。一度や二度じゃないわよ!」




「そ、それは…」




花子の攻めに途端にぐっと詰まる大輔。眉間のシワを更に深め花子が糾弾する。




「やっぱり、やましいことがあるんでしょ! あれに出くわす度に、私がどれだけイヤな思いをしてるか!」




大輔と花子、二人を取り囲む周囲の視線が途端に不審をはらむものへと変貌し始める。しばし、居心地悪げに辺りを見回す大輔。みんなに向い小首をかしげ、軽く歯を見せながら薄く愛想笑いをしてみせる。




「私を騙してるのね!」

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