第42話
花子のあまりの錯乱気味に顔を見合わせる訪問客たち。
「ま、そう言うんなら、帰ります?」
「帰りましょうか? 僕らも用事ありますし」
「まーあんまり長居するのも申し訳ないですし」
「お茶をご馳走さまでした」
訪問客の一人が一礼して美鈴のお盆に湯飲みを置く。それを受け美鈴が頭を下げ。ぞろぞろと潮が引くようにみんなリビングの出口を目指しはじめる。
「わー! まてまてまて!」
一方、一人大焦りする大輔。必死にひきとめようと叫ぶ。だけど、大輔の言葉に訪問客が振り向き、
「や、だけど奥さんが…」
「考えてみたらこれは夫婦の問題だし」
「我々が口を出すことでは…」
そう言って、それぞれが顔を見合わせ合図地を打ち合う。そうして頷きあい、納得して、再びみんな去ってゆこうとする。
「待って、お願い!」
はっしと一番最後に出ようとするTI田中の上着の裾にすがる、今にも泣き出しそうな大輔の顔。再び顔を見合わせる、訪問客たち。
じゃあと、めぼしい人数だけ残し、訪問客たちはそれぞれの場所へと帰って行った。
かくして、大輔が携帯で呼び出した人々がリビングに勢ぞろいした。総勢、9人。一気に人数が目減りしすっかりリビングは落ち着いた様相となる。
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