第41話

そして、あくまでも花子邸のリビングなのに、斉藤の彼女、美鈴が、相変わらずお茶汲み係を買って出ている。




キッチンの火をフル稼働し、お湯を沸かし、コーヒー、昆布茶、紅茶、お好みに応じお盆を両手に訪問者たちに配って回る。そうして、この大所帯に一人だけ追加された女子の部下、森里未央も一緒になって手伝っている。




「さぁって…と」




この状況をどうしたもんかと、大輔が頭をかいていると、無言で花子が立ち上がる。そうして、フイに声をあらげる。




「これは夫婦二人の問題でしょ? なんでこんなに赤の他人がウチに上がりこんでるの? もう、帰ってよ! 帰って!!」




そう叫びながら、押し合いへし合いしている訪問客をリビングの戸口へと押しやろうとする。しかしあまりの人数、花子の検討むなしく、はかばかしく進まない。




「ばか! みなさんにわざわざ来ていただいてるんだぞ! なんてこと言うんだ」




「みんな帰って!!! 帰ってよぉぉぉ!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る