第38話
置かれた現状、そしてその割、ほのぼのとリビングを飛び交う和んだ言葉たち。辺り一帯の光景のあまりのギャップに内心うんざりするも、自分の都合で呼び出した手前、悪い顔はできないようだ。
そんな大輔の気を知ってかしらでか、美鈴にうながされ、真奈美が子供用のイスに腰掛け始める。
「おねーさんとおイスに座って、ジュース飲もう!」
イスを引く音がガタガタと鳴り響く。
そうしてその直後に
「あまーい! すっぱーい!」
と真奈美の嬉しそうな悲鳴。大きなグラスを必死に両手でささえ、身を乗り出しながら真奈美がジュースを飲んでいる。
「うふふ」
頬杖をつきながら見つめる美鈴。
それを遠目に見やる大人たち。ようやくすべてが落ち着いたところで、ごほ! っと大輔が一つ咳払いをし大山を促す。
口を開く大山。
「あのですね、この電子メールはね、んーそうですねぇ、業者が出してんですよ。あ、業者って分ります? 出会い系。出会い系っていう、男女が出会うサイトっていうのがあるんですよ。
基本、勝手にくるもんなんですけどねぇ…」
とそこまで話し、大山はふと思い出したようにとんでもない一言をつぶやいた。
「あ、でも、出会い系使ってると、このメール来ることもあるんですよね」
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