第33話
と大輔を見やる。
役立たずと言わんばかりに、大輔は右手て額を打つ。
「ちょい、二人ともそこで、スタンバイOK? 別、別、別の奴!!!」
そうして、再び携帯電話を片手に廊下に駆け出す。言われるままに腰を下ろしたままの斉藤。田中と視線を交わし首をかしげる。とはいえ、一人っきりで花子と取り残されていた時と異なり、心なしか和んだ表情の田中。隣の斉藤に小さく話しかける。
「斉藤君ってさー、営業でしょ? 僕あんまり人前で話すの得意じゃないから、営業の人って尊敬しちゃうなぁ」
「そんなことないっすって。競争厳しいし、結構使い捨てみたいなとこあるし。俺、あんまデキいい方じゃないし。あーでも、田中君、ちょっと人と接するの苦手そうかも」
「そーだからIT畑。今はいい時代だよね。僕みたいにコミュニケーション苦手な奴にもちゃんと仕事あるからさ」
「いやでも、スキルあるってうらやましいっすよ。むしろ尊敬もんっすよ」
田中と斉藤、二人が和んでいると、勢いよくリビングの扉が開き、汗をぬぐいながら大輔が言い放つ。
「あと、25分ほどお待ち下さい。次が来るから」
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