第27話

ふいに亜美の瞳が輝きを帯びる。




「おばーちゃんち!?」




「そ!」




「ブランコのある?」




「そ! 木のおぶらんこがある」




両手をひろげ、はねながら亜美が叫ぶ。




「コロのいる?」




「そ、コロのいる」




「行く?」




「いく!」




部屋中を、跳ね回り喜ぶ亜美。花子は鼻をひとすすりし、そうして、母親らしくあったかい笑顔で亜美を見やる。




「でも、今すぐだけどいい?」




「うん、いつでもいけるよ。あ、でも、おにいちゃんは?」




「あ、そうか、おにいちゃんは、ともくんちに遊びに行ってるのよね」




「おにいちゃんも、いっしょにいきたい」




無垢な亜美の笑顔にあてつけられ花子の目に再び悲しみがよぎる。だけど花子は笑う。




「おにいちゃんは、あとで迎えにいこっか?」




「うーん……うん!」




少しだけ躊躇するそぶりを見せた亜美だが、すぐに嬉しそうに頷く。




「亜美も自分のお荷物用意して」




「うん!」

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