第25話
しばし二人はにらみ合いを続けたまま、向き合っていたが、やがて疲れ果てた顔で、再びソファーに音を立て腰を下ろす大輔。そうして、コンセント近くで充電を終え、暗く沈んでいる携帯電話に手を伸ばす。
「頭痛いよ……ちょっと待ってくれ」
そうして、大輔は巨大なため息とともに、携帯電話の電話帳で番号を探しはじめる。目的のナンバーにたどり着いたら、ダイヤルボタンをプッシュし、携帯電話を耳に当て始める。それを見て、すかさず食らいつく花子。
「開き直って、女のところに電話する気?」
「休戦! ちょっと黙っててくれ! 電話できないから」
片手で花子を制止、大輔はリビングをを出ようとする。
「待ちなさいよ、逃げる気! 話は終わってないわよ!」
「ちょっと黙っててくれ!」
「誰と話してるのよ! どの女よ!」
「違うよ、人を呼ぶだけだ!」
大輔は、受話器の話口を片手で塞ぎながら、花子に叫ぶ。
「誰よ、誰を呼ぶ気よ、女と私を直接対決させる気? 私と離婚する気ね、そうして、その女と再婚するのね!」
リビングの扉付近で、大輔に向い叫び続ける花子。
「いいから、黙ってろ!」
捨て台詞とともに、トイレに入り込み鍵をしめる。
リビングに一人取り残された花子はその場にへたり込み。わんわん泣き出す。
「また逆ギレね・・・・あぁぁん! もうこんな家出てっやるぅぅ!!!」
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