第22話

亜美を両腕で取り返しながら花子が大輔を睨む。




「亜美は必要のないことで傷つくんだ。夫婦喧嘩は教育上悪い。ほら、亜美がおびえてるじゃないか、ぜんぶぜんぶ、そっくりお前の勘違いだ!」




大輔は花子から亜美を奪い、抱き上げながら、亜美の顔を覗き込み、言い聞かせる。




「亜美、いいからお部屋に戻ろう。昼寝なさい。パパはママが言うようなことは絶対してないからね。パパを信じなさい」




そうして、奥の夫婦のベッドルームに向かう大輔。数分後に、亜美を無理やり寝かしつけてきたらしき大輔が空手で戻ってくる。そこを、じりじりと待ちうけていた花子が言い放つ。




「そうやって無理やり二人きりになって、ますます嘘をつきやすいシュチュエーションに持ってゆく気ね。私たちの幸せはこうやってぼろぼろに崩れてゆくのね」




渋い顔でソファーに腰を下ろし、胸ポケットから、タバコを取り出しながら大輔。




「あのな、冷静になれ。お前、パソコン教室行ってるなら、習っただろ? スパムってのは、宣伝メールだよ。これは出会い系の宣伝メール。業者が送ってんの。家に封筒でダイレクトメール来るだろ? あれと一緒。あれのネット版」

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