第21話

「なによそれ? スパムなんて聞いたことないわよ。わけの分らない言葉でごまかそうとして!」




ムキになる花子に大輔が笑いながら答える。




「いや、スパムだって、スパムメールって知らないの? いやーギャグみたいなオチだったな!」




「知らないわよ、そんな変なの、ニヤニヤ笑って話をごまかしてるんじゃないわよ!」




冷め切った花子の言葉につい先ほどまで笑顔だった大輔がとたんに眉をひそめ、不愉快そうな顔をする。一瞬だが一気に険悪な空気が流れる。




「ママけんかしないで」




花子の腰回りにしがみつき、必死の様子で見上げる亜美。




「亜美、お前はあっちに行ってなさい」




と大輔。




「いいえ、ここで見てなさい。パパがこれ以上嘘をつかないよう、亜美はしっかり見張っているのよ」




花子は亜美の頭をなでながら、亜美を囲い込もうとする。




「なんてやつだ、お前は、亜美が傷つくだろ?」




そう言うやいなや、大輔は亜美の肩を引き、無理やり花子から引き離す。




「私たちを傷つけることを一番最初にしたのは誰かしらね? 亜美が傷つくとしたら、全部あなたのセイよ!」

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