第18話

大輔の言葉に黒い大きめなTシャツをわしづかんだ花子の両手が小刻みに震える。そうしてそれを少し乱暴に洗濯カゴに投げ戻す。唇をかみ締めると、ついに大輔の方を振り返る。その様子を見、大輔が片手をあげる。




「あ、キッチンの方まで戻るんなら、ビールとってよ。仕事あけだ、朝っぱらからビールってのも悪くないだろ?」




大輔の最後の一言、そこで花子はついにぶちキレた。




「ストレスがない?」




花子はどこか振り切った完全なる作り笑顔で、大輔に微笑みかける。




「ストレスがなくって、しあわせちゃん?」




ふふふふ、花子はえもいわれぬ含み笑いをすると、眼孔を一気に見開き大輔を啖呵で切り捨てる。




「あなたのお陰で、ストレスだらけよ!!」




そう吐き散らすと、干しかけのまだ濡れ切った洗濯物を大輔めがけ丸めて投げつけ始める。




「どーしてくれんのよ!」




「ぶわ!」




「私のしあわせライフを!」




「うぉ!」




「子供だって、二人もいるのに!!」




「おい! なんだよ! おい!」




「サイテーよ!」

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