第15話

花子と大輔は、大学の時に知り合って、大輔は三つ年上で、頼りになるセンパイだった。




二人は六年つきあって、その長い間にはいろいろあった。だけど、ついに結婚の話が出たときには、両親も喜んでくれて、友達も喜んでくれて。




もちろんどこの家庭でもある娘かわいさの父親の通例の儀式はあった、大輔にいい顔をしない、だがそんなものは決して長くは続かなかった。




十月にあげた挙式は中規模くらいで、披露宴のお色直しは四回もして、キャンドルサービス以外にもシャボンだとかバルーンだの小じゃれたイベントもいくつかあった。




ハネムーンは、ずっと二人で行きたかったハワイで、花子は国内ではちょっと着れないような大胆なカットのビキニを着て、大輔はアロハシャツを着た。




だけど、大輔のアロハはやたら柄が大きすぎて、いまいち似合ってなくって、二人のツーショット写真は今見ても、ちょっと笑ってしまう。




二年と三ヶ月で一人目が生まれ、男の子だった。そのニ年と八ヶ月後に二人目が生まれ、今度は女の子だった。




一人目の和樹が生まれたときには、二人でデジカメで一杯一杯写真を撮った。二人を見て愛らしく微笑む顔、寝癖のついたねぼけまなこに、めいっぱい泣き出す顔。そうやって、CD-Rに何枚分も撮ってことさら気に入ったのはカメラ屋で現像して、アルバムに丁寧に貼り付けた。今でも素敵なメモリー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る