第9話

必死の形相の珠代。テーブルに両腕を断固と置き、身を乗り出したまま、麻美を振り返る。




「花子はバカなんだから、ちゃんと私たちで最後まで相談に乗ってあげないと」




唖然とした顔のままの珠代に麻美が苦笑いでうなづく。




「バカって言い方はないじゃない!」




と花子、珠代の指摘に唇を尖らせる。




「バカでしょ! バカも大バカ!」




「そーそー、花子のバカっちょ!」




珠代と麻美のバカバカ攻撃。




二人の言い草に頭にきた花子がシフォンケーキにズブズブとフォークを何度も突き刺し、ぐしゃぐしゃに崩してゆく。ベリーソースと生クリームとスポンジが中途半端に混ぜ合わさり、汚らしい小皿になってしまった。




「じゃあ、どうすればいいのか教えてよ!」




フォークを投げ出し花子。無残な小皿。再び話は振り出しに戻ってしまった。




再び、三人で頭を突き合わせ談義を始める。




崩れたシフォンケーキにようやく手を伸ばす花子。台無しシフォンをぱくつきながら珠代を振り向く。珠代が腕組みながらつぶやく。




「浮気した旦那をどうするか」

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