第6話

「下が幼稚園に入ったばっかだし…、上は来年小学生だし…」




珠代の言葉に花子が言う。




「でも、浮気は許せないと」




珠代がつぶやく。




「だって、わかるでしょ!?」




泣きじゃくりながら、花子が二人に食い下がる。うなづきながら麻美。




「わかる、わかるわ! 私も旦那に浮気をされたとき、ぶち切れたもの。まー結局許せなくて離婚に至ったわけだけど」




「これじゃあ、話が平行線ね」




弱りきった顔の珠代。




そこへいやぁな笑みを浮かべ麻美、




「いっそ、やり返しちゃえば?」




と不穏なことを言い出した。




「離婚は無理。でも、旦那は許せない。だったら、浮気し返しちゃえばいいのよ! 要はしかえし! そうしたら、旦那の浮気も暖かい目で見守れるじゃない? これで、おあいこだから」




そうやって悪びれず言い切ると、麻美はちゃめっけたっぷりに小首をかしげて見せる。泣きはらした目でとまどう花子の顔を覗き込み更に猛プッシュする麻美。




「花子、メールの使い方覚えたばっかなんでしょう? よく知らないけどさ、出会い系ってどうよ! 雑誌に載ってるじゃない? 女って案外簡単らしいわよ! 花子は可愛いし、すーぐ浮気相手なんて見つかるって!」




そう笑うと、麻美は長い指をツヤっぽく口元にポージングして、ちょっとわざとらしく腰をひねると、軽くしなを作って見せながら言葉を続ける。




「そうねぇ、どーせなら、若いつばめを囲むのもいいかもね。大学生くらいのぴちぴちしたの。私たちくらいのおねーさまがモテるらしいわよ」




「主婦だけどね」




珠代のクールな横槍に、麻美が大げさに珠代を振り返り言い返す。




「主婦って言い方がダサいのよ。人妻とおよび! ひ・と・づ・ま!」

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