第5話
「はいはい。じゃ、真面目に話をするとして。で、浮気の兆候はあったの? 出張とか、残業とかさ」
珠代の言葉に、崩れきった姿勢を正し、アゴの下で両手を組むと、今度は正面きって切り出す麻美。麻美の言葉に記憶をたどり、ぽつぽつと口を開く花子。
「出張はないけど、残業はちらほらあったような気がする」
「午前さま?」
麻美の手馴れた誘導尋問。麻美も旦那に浮気をされとき散々あれこれ思案をめぐらせたのだろう。
「午前さままでは行かないけど、夜の十一時とかけっこうあったかも」
と花子。上目遣いに麻美を見返す。
「びみょーね」
腕組み麻美、座席の背に体をもたれかける。
「今まではあんまりなかったような気がする」
麻美の言葉に慌てて花子が付け加えた。
「で、どうすんの?」
と麻美。すがるような目で二人の親友を見返す花子。
「ね、どうすればいい」
「探偵でも雇う?」
と、ようやくここで珠代が口を開く。
だけどすぐに麻美の横槍。
「探偵料は高いらしいわよ。どこにそんなお金があるのよ。子供二人もいるのよ。子供二人もいるのに、ねー!」
と花子を促す。
「それにサギっぽいの多いらしいし」
と最後にもう一言。やけに探偵事情に詳しい麻美。これも経験のなせるワザ? 麻美の説得力のある言い草に、一つの選択肢は消えた。かくして、何事もなかったかのよう会話は流れるように続く。
「離婚はいやなんでしょう?」
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