と、あっけらかんとした声で麻美。そうして、花子を覗き込む。ますます泣き出す花子。

「もう！　ちゃかすなら、あんた帰んなさいよ！」

珠代が麻美をしかりつける。

珠代の言葉がこたえる風でもなく、毛先を指に巻きつけ、けだるそうに口を尖らせる麻美。そうしてミュールの足をぶらつかせながら言う。

「だってぇ、私の旦那も浮気しちゃってぇ！　とっくに離婚だもーん！　今の今まで何も無いなんて花子は幸せすぎたのよ」

麻美はそこまで言うと、今度は身を乗り出し、花子を覗き込む。

「花子、シングルも悪くないわよ！　子育てちょいタイヘンだけど。慰謝料ガッポリ取っちゃえば、何とかなるし！」

花子を思いやる風を装いながらも、やはり、どこか小意地悪な麻美の言葉。×一歴が長いからか。

「麻美！！」

珠代が麻美を睨みつける。

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