第75話
愛里のブレスが途切れたところで、僕は半身をひねり愛里の両腕と胴体をはらいのける。
抵抗を失った愛里は自らの勢いによろめいて、部屋のじゅうたんに突っ伏してしまう。そうしてじゅうたんの上で突っ伏し身を起こそうとする愛里に、僕はしゃがみこみ、これみよがしに冷ややかに嫌みったらしく言い放つ。
「病気って何ですか? マッタクもって意味不明なんですけど」
僕はこれといって何も悪いことをしていないのに、この仕打ちはないだろう? といった心境だ。だけど僕が言葉を言い放った次の瞬間、僕の右頬に衝撃が走る。飛んだのは愛里の平手。
「お前のようなヤツは、死んでしまえ!」
泣きうるむ寸前の愛里の両目。
だけど僕を目一杯にらみつける愛里の瞳。全てが分からない。理解できたのは突然走った右頬の激痛がそのままうずいていることと。愛里がこの上なくキレているということだけだ。
だけど、僕もいい加減マジ切れた。かろうじて愛里をひっぱたき返さないだけの理性だけ残して、愛里に言い放つ。
「あーそうですか、さいですか。彼氏が折角デートにさそってやったのに、この仕打ち。お前、頭がトチ狂ってんじゃねーの!」
僕の言葉に愛里がますますきつくきつく僕をにらみ上げる。両目を真っ赤にして。だけど、僕は負けじとにらみ返す。そうして吐き捨てる。
「二度と来ねぇよ、ばっかじゃねーの! お前のような、わけのわかんねー女こっちから願い下げだ! てめーとは、今日で縁切だ!」
僕は片腕をこぶしにし言い切ると、盛大な音を立て扉を閉じ、愛里の部屋を飛び出した。
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