第71話

「な、愛里。やっぱ、今日はどっかに出かけよう。今日こそどっかに行こうよ。こんなに毎日家ん中に居っぱなしだと、体中にカビが生えるぞ! 太陽の光を浴びよう!」




(そうして茶でも飲むなり、遊びに行くなりして、適度に暇をつぶし、ホテルへゴー!)




もちろん、後半の本音はおくびにも出さず、僕は愛里を立ち上がらせようとする。




「な、行こ行こ!」




(かれこれ、二ヶ月近くも何もない。もー解禁だろう! もーちゃんとしたカップルだ! もーいいだろう! 若いカップルにスキンシップゼロなんてありえないって)




ぐいぐい愛里の腕をひっぱり無理やりにでも愛里を立たそうとする僕。だけど、その腕を目一杯振り払い愛里が叫ぶ。




「やだ!」




愛里のその声の大きさ。僕の腕の払い具合。




「絶対やだ! 死んでも行かない!!」




愛里の心底イヤそうな顔。言葉の吐き捨て具合。そうして、忌々しげに僕をにらみ上げるその瞳。本気でイヤがってる??? 僕はあまりの愛里の拒絶に戸惑っている。戸惑い怪訝そうに愛里を見下ろす僕。




(ナゼ?)

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