第48話

「んー、だいったいのもんなら、僕ならベッドの下に隠すね。このベッドなら、丁度ベッドカバーが目隠しになるし」




ちょい気分が明るくなるよう、声を明るめに調整する。




こんな瞬間、一緒になってオタついたり、言葉に窮したり、目一杯、オペラのようあからさまに同情するなんざ、ヘボのすることさ。人間心理ってもんがちっとも見えちゃいない。女の子がこんな瞬間欲しいのは、そんな態度じゃない。




「だけど隠して置いても、ちょっと離れた場所から見たら、すぐにバレちゃうかも」




と愛里。




まるで自信なさげ、うつむいてポツリこぼす。なんだよ、ホントに別人だ。一体どうしちまったの? だけど僕はおくびにも出さない。




「そこは知恵を使う」




そうして、僕は愛里に得意げに笑ってみせる。なんだかちょっと楽しくなってきたぞ。さぁ! どんな知恵だ、僕よ。そうして、あれよあれよと僕の口をつく言葉。




「愛里さー、ダンボールの空き箱と、ひも取ってきて、できれば綺麗なの。あと、ガムテープとキリもあればうれしいけど」

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