第42話

結局、たび重なる自問自答もむなしく、小市民的な僕は愛里に言われるがまま、コンビニでワンカップ大関を買ってきました。




思っていたコと違ったから、そっこー別れるなんてマネ、僕にはできませんでした。大きなコンビニ袋を両手に二つもぶら下げ、手の平をしびれさせつつ部屋に戻ってきた僕に、歓声をあげる愛里。




「大関ぃぃ~! 会いたかったよ~~!!」




愛里がおじんじょう座りのまま、両手をひらつかせ、僕と大関を大歓迎する。そうして、僕が愛里の目の前にコンビニ袋を下ろすや否や、愛里は早々一方の袋をあさりだした。




かくして、愛里は一本のワンカップ大関をえらくご満悦で取り出すと、大関のカネの大蓋をぱっくりと開け、早速ぐびぐびやりだした。大関を三分の二ほど飲んだところで、




愛里一言。




「はーぁ、なごむー」




水を得た魚、酒を得た愛里。




自室のセイもあるだろう、実に憎憎しいまでのリラックスムードだ。反面、その脇でなぜだかやけにかしこまり正座すわりをしている僕。初めて愛里の部屋に突入した時よりよっぽど緊張している。というより非常にバツが悪い。




大関を手にした愛里が、僕の置いたもう一つの袋に気づいた。




「あれ? これ何?」




「コンビニでついでに買ってきた」




と僕。




コンビニにたどり着く道すがら、散々っぱら愛里に対しろくでもないことを考えていたお詫びにと、僕が追加で買ってきた三本のラブリーなフルーツカクテル缶三五〇ml。




テレビCMでよくやっているやつ。そうして、甘いチョコレートやら、ナッツの袋やら、スナック菓子もいくつか。

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