第40話
頭を冷やすにはちょうどいいと安請け合いしたものの。愛里に酒を買いに走らされる最中、僕の脳裏に突如不穏な着想がよぎる。
(このまま、トンズラここうか。携帯の番号もそっくり変えて)
なんてデンシャーな発想。だけどナイスなアイデア。そうだ! んでもって、あの近辺、愛里とでくわした周辺を当分うろつかなければいい。
そしたらきっと、愛里もそのうち僕のことなんて忘れてくれるさ。と鬼畜な僕。……あくまでも希望的観測だけど。と弱気な僕。
(って、出会ったのは駅だろ! 大学はどうする!!)
表情をめまぐるしく変えるどころか、思わず左手で一人突っ込みまで入れる僕を怪訝そうに振り返るすれ違う人たち。ショーウィンドーに映る己をちらり盗み見、僕――整形する?
(現実的じゃねーーー!!)
僕は思わず両頬に手をそえ、ショーウィンドーにムンクする。
だけど、ウィンドーの先にある、腕時計をはめたマネキンのやけにすべすべとなめらかなる手首を食い入るように見つめて、思わず首を横振り。
(それより何より、簡単に手首を切り刻む女だぞ)
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