第33話

細かな住所、番地に道順もひとおり聞いたけど、怒りのあまり皆目検討もつかなかったので、僕は映画の後で愛里と一緒に飯でも食おうと思っていた金でタクシーを捕まえた。




愛想なく乗り込む。走り出す。かくして、僕のバイト代は、かくも実りのないものに水の泡のように消え……見なかった映画のチケット代だとか、くそどーでもいいタクシー代だとか、もーもー踏んだり蹴ったりだ!




ただひたすらだだ流れ、風のよう溶け走る景色をタクシーの窓越しに睨みつつ、僕は一人心内でぼやいていた。あいつと出会ってから、もーもー振り回されっぱなしだ!

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