第18話
彼女は僕の右脇にぴったりと体を寄せ、密着してきた。
彼女の体温と感触をもろに脇に感じる。鼓動すら。気持ちいい、だけど内心かなり狼狽する僕をスルーして
「この辺、撫でてみて」
そう言うと彼女は僕の手のひらを僕の意志などお構いナシに、ぴったりと彼女の腰に這わせた。そうして僕の肩に首をもたげてくる。
「は、はぁ!?」
さすがに、彼女の今度ばかしの指示を実行するのは、ためらわれる。まだ出会ったばかりなのに。
「いいから、ちょっと撫でてみて」
と彼女の要請――とまどい。それでも僕は彼女に促されるまま、ためらいを帯びた右手を彼女の腰の上でぎこちなく動かしてみた。
折角女の子を触るチャンスなのだ、なかなかいないぞ、触れと言うなら触りましょう。だけどなんだか全てが腑に落ちない。
彼女の腰周りを撫でながら僕は思う。なんだろこれはドリームかしら? 男好きする官能小説のチープでありがちだけど、だけど実際は絶対ありえないやっすい展開。
かくして、ここで僕が彼女の腰を撫で回してるといきなり柄の悪い連中に取り囲まれて
「金を出せ!」
なんて脅され。実は結局のところ彼女は美人局でした、なんてオチを突きつけられるのでは? と一瞬脳裏をよぎる。
僕は少しびびりながら、それでも彼女の腰をなでる。何より感触が心地よかったからだ。この誘惑には抗えない。プニっと薄づきした脂肪がやぁらかいんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます