第11話
背後からフイに声を投げかけられる。どこか聞き覚えのある女の声。声の主を求め僕が思わず振り向くと、これまた見覚えある赤ら顔が、ジョッキを片手に微笑んでいた。
「やほ! やーよく会うねぇ! 意外とご近所さんですか?」
“二度あることは三度ある”だから気を抜いちゃダメですよってか?
(またお前か! ゲロ&アル中女)
僕らの三度目の出会い。今日もまた例の少女はかなりの泥酔ブリで僕に陽気にからんでくる。最初発見したときは、結構可愛かったハズなのに、ゲロに酒と、お前、どんどん心証落ちてんぞ! 目の前の少女を心内でこっそりののしってみる。が、勿論口には出さない。にっこり笑いながら僕。
「やぁ、今日は大関持ってないんだね」
だけどやっぱり、心内は隠しきれないようで、口から思わず軽い嫌味がついて出る。
「大関?」
「ワンカップ大関」
「だって、ここ居酒屋だから」
彼女のしごく真っ当な返答に、そりゃそうか、そうだろうよと、僕が小さく息をついていると、
「なーんちて、ちゃんとスタンバイしてるよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます