三章:2度あることは3度ある

第10話

「え? 来れないの?」




携帯電話を片手に僕は思わず叫ぶ。ここはとある居酒屋。周囲のよっぱらいどものざわめきでもって電話の声がよく聞き取れない、思わず大きくなる声。




「え? サトミちゃんが? だってもう、酒だの料理だの一杯頼んじゃったよ。相談があるからってお前が言うから……」




僕は目の前に山のように広がる冷奴だとか、焼き鳥だとか、ダシ巻きタマゴだとか酒のアテをちょっとばかり唖然と見下ろしながらつぶやく。が、




「わるい!」




の一言と共に途端に電話が不通となる。




「あ! 切りやがった!」




これだから彼女が居るヤツはなぁ! ダチとの約束より彼女とのデートってか? と思わず不満に思うも、ま、たしかに野郎と二人むさい面をつき合わせて飲むよか、女の子と飲んだり食ったりした方が楽しいのかもなぁ、とまたすぐに思い直す。




けど、このお膳に満載の料理をどうしてくれよう。金は後で下田のやつに半分請求するとして。腹減ってたから、つい欲望にまかせ山盛り頼んじまったんだよな。と僕が一人心内でぼやいていると、




「すっぽかし?」

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