第3話

目先鼻先で展開されるえもいわれぬ状況に僕もつられてゲロを吐きそうになるも、それをすんでで飲み下す。わずかばかりの胃酸でやられたのか喉の奥がジンと熱くなる。




しかし、彼女が二度目の嘔吐を始めたのを見た途端、僕はたまらず二度目の内容物のこみ上げを感じ、口元をがっちり右手で押さえると、集まりかけていた人垣をあまった方の腕で押しのけ、また突き飛ばし、最寄のトイレに猛烈な勢いで駆け込んだ。


 




そうして、個室のトイレに入り安堵したのか、僕はめいっぱい吐いた。吐きも吐いた。胃の中がみるみる軽くなる。それはそれは愉快なほど。と同時に、すっぱい胃酸の強烈な風味と今日のお昼のカツサンドの味がほのかにした。




僕は便器に吐き出されたグロテスクな汚物を忌々しげに見下ろす。

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