第2話

「近寄らないでっ!」




彼女の有無を言わせぬ迫力と言葉。僕の親切心をかのごときムゲな言葉で切り捨てるなんざ、カルチャーショッキングだ! 


あげくこの女ときたら僕を突き飛ばしやがった。床に派手にしりもちをつきつつ、僕はわが耳を疑う。


 


ここは『いえ、大丈夫ですから、お気になさらないで』




『まぁ、そんなことを言わず、病院でも行きましょう。付き添いますよ』




『ご親切にどうも、本当にすみません。ご迷惑おかけします』




『いえ、なに当然のことをしたまでです』




(なんて親切な男性……ポ!)




じゃないのか? なんて僕が一人ぶちぶち心の中でぼやいていると、目の前の少女がふいにおかしげな動きをする。なぜだか瞬間僕はイヤな予感がした。




が予感的中――か細い「……余計に酷くなるから……」


の声と同時にこの女、いきなり僕の目の前で目一杯ゲロを吐き始める。途端に辺りに充満するすっぱい臭い。

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