第31話

「あたし、産もうと思います」




もう木崎の暴力には脅えない。はっきりとした意思の見えるミーナの瞳。




「はは、十六で?」




鼻で笑う木崎。




「年は関係ないと思います」




むっとした顔のミーナ。ミーナの不機嫌顔を見て見ぬふりをして言葉を続ける木崎。矢つぎばやに意地悪い質問を投げつける。




「学校は? 金は? 未成年でしょ? 無理だよ…」




毅然とした態度を変えることなく、ミーナは木崎をちょっとだけ睨み返して言う。




「あたし、実家に帰ろうと思うんです。家出してるし、子供もいるし、メチャクチャだけど、だって、この子を降ろしたら、フラッシュさんの生きた証がなくなっちゃう…あたしはそっちの方がつらい…」

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