五章:フラッシュの生き様
第23話
思わず日本語で叫んでいた。ゆえにテロリスト達には通じない。
フラッシュは思う。走馬灯のように流れる思い。
命を両てんびんのように賭けるなんてばかげたことだと。
人生はそんなもんじゃない。
ずっと思春期を引きずっていた。
ずっと…
どうしてここに生きているのかわからなかった。
どうしてここに存在しているのかわからなかった。
ただカメラだけが写真だけが楽しいことだった。
そうしてどこへ行こうとしているのかわからなかった
そうして何が正しいのかわからなかった
そうして生きるということがわからなくなっていた
えたいがしれなくて怖かった
それがフラッシュを練炭自殺へ走らせ動機だった。
ミーナと出会い、変った。
だけど、変らなかった。
どう生きたらいいのか分からない。
だけど今死を目前としてわかる。
人の命はそんな理解するだとかなんてものじゃないのに
平和ボケの日本人へ
お前らは幸せだ
日本の秋葉を思い出す。
日本の高性能な電化製品、車、テレビを思う。
平和ボケの日本人の代表。
俺のおふくろ、おやじ。迷惑ばっかかけてゴメン。
学歴を捨ててカメラマンに走って、むちゃくちゃでゴメン。
ミーナ。
お前は泣くかな…
いいなぁ、平和って。
いいなぁ、平和って…戦争がないって
銃が…ないって
いいなぁ、いいなぁ………いいなぁ…
泣いて笑って、怒って。
はしゃいで。それが当たり前の毎日が、あんなにも何もかもに恵まれていたなんて。それが今の今、殺される瞬間になって分かるなんて。
テロ集団に総理の提言は通じなかった。そうしてテロリストの一人に銃を構えられ、問われる。
『最期に一言は?』
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