第12話

ミーナ





それは恋から愛に変った。




いつからだろう?




そうして、いつからかミーナは変った。いつからだろう。


俺のキスから? セックスから? コトバから?




よく覚えていない。だけど彼女はよく笑うようになった。




だけど俺は何一つ変っていないような気がする。


いつもどこか不安定で、いつ自分の歩む道が正しいのかどうか分からない。




俺は実はかなりの高学歴だった。だから、若い時は、何にでもなれた。無限に広がる可能性。




そこを敢えてカメラマンの道を選んだ。昔からカメラで景色やモチーフを切り取るのが大好きだった。最初に手にしたカメラは学生時分、新聞配達で稼いだ金で調達したカメラだった。




そこまで大好きなカメラだ。だけど、もし、別の選択肢へ向かい、今から急カーブで人生を切り変えたとしても、たとえばサラリーンマンになりたいと願ったなら、ただ学歴を添えた履歴書を持ち出せば、きっと何とでもなるだろう。




この無限な選択肢も俺を悩ませる。人生、これでいいんだ、という確信が欲しい!




ミーナは俺を愛してくる。俺も勿論愛している。




だから、二人は近い未来、結婚するのが一番いいと思う。これは確実だろう。




だけど、フリーのカメラマンの俺には今、ミーナをまともに養う力がない。ミーナ一人ならまだいいだろう。二人の子供は? 子供一人育てるのに小中高大と学費で3000万円。イッタイ、どう工面する?




俺はカメラマンを辞めて就職するか、フリーカメラマンから核変して稼ぎのいいプロのカメラマンに成長しなければならない。

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