第11話

コンコン。


理事長室のドアをノックする。



部屋の中から

「はぁーい、どうぞ。」


聞き馴染みのある

優しい女性の声がする。


懐かしい、なあ………。




ふう、と息を吐く。



会うのが久しぶりすぎて緊張する。




落ち着け、わたし。


大丈夫、わたし。


がんばれ、わたし。




『失礼します。』



そう言って、ゆっくりドアを開く。



眼鏡をかけた、20代にも見える

落ち着いた雰囲気の

ソファーに座っている1人の女性。



『ようこそ、塔英学園へ。妃愛ちゃん。』



緊張しつつ、挨拶をする。


『よろしくお願いします。』



『ソファーに座って、緊張しなくて平気よ。』



『はい。』



緊張しなくても、平気…

と言われても、緊張する。


落ち着かない。

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