第10話

『ここだよ、理事長室。』



『ありがとうございます。』



『いーえ、じゃあまたね。』





じゃあ、またね。




そう言った悠妃くん。



その姿は、わたしの大好きだった

あっくんに似ていて。




思わず涙が出そうになる。




あれから10年以上たつのに、未だに

あっくんのことを忘れられないでいる。




あっくんは誰だったのか。



そして、どんな人だったのかも。



私とどういう関係だったのか。



なんで、会いに来れないのかも。




そのことは数年前知ったばかり。





だからなのかもしれない。



この学校で生活したいと思ったのは。




あっくんの居たこの学校に私はいる。




あっくんのーーーとして。

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