第20話

麻紀の最後の顔が忘れられない―――



俺の脳裏に焼き付いて

梨絵子と子供達を見ては思い出して

ずっと後悔してきた。



俺への感謝の気持ちと

梨絵子と菜緒を想う気持ち。

入り交じった複雑な表情をしていた。



「麻紀さんは、おじさんに感謝してました。菜緒ちゃんのことは言ってませんでしたが……向き合わないと、ねって。」



麻紀が言う、向き合わないとねって言葉は

利樹の死と、麻紀、梨絵子…

あの日に起きた事件と向き合うということ。



起きた事件こそが

全てのはじまりであり―――


俺が逃げ続けてきた、最大の事件。



梨絵子とは事件を

無かったことにして

お互いに触れないできた。



それこそが最大の罪のはじまり。

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