第93話
父:「優哉は止めたと思うぞ。」
妃響:「うん、止められたよ。本当に聞きたいのか?知ってどうするんだ?って優哉さんには言われてた。」
「なあ、妃響。」
「なに、優哉さん?」
「妃響は今、菜緒のこと、朝妃のこと、母親のこと知ろうとしてる。」
「うん、そうだね。」
「知ることが幸せとは限らないよ。まだ高校生の妃響に全ては受け止められない。」
「でも、俺は知りたい。俺と朝妃年子なのに、何で父親が違うのか…何で父さんは…………」
父さんは……
その後に続く言葉を
発することが俺は怖かった。
抱いてきた気持ちを
目を逸らしてきたことを
事実として
受け止める事が怖かった。
「妃響、思う事があるんだろう?」
うん、あるよ。
沢山、あるんだよ。
言葉にすることが怖い。
泣き出した俺を
優哉さんは
何も言わずに
そっと、抱き締めてくれた。
父さんにもされたことがない
抱き締める、という親からの愛情。
優哉さんが父親なら
良かったのに………
と、思う瞬間だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます