第94話

父:「優哉が父親のほうが良かったか?」



妃響:「は?何言ってるの?」



ドキリ、としてしまう。


親父は気付いたのだろうか。

俺が、動揺したことを。



父:「俺は、朝妃と妃響には父親らしい事何一つしてきてないからな。」



妃響:「うん、まあ…そうだね。」



父:「言い訳にしかならんが、朝妃と妃響とは向き合う事が出来なかった。」



妃響:「それは、何で?菜緒ちゃんが関係してるから?」



父:「向き合い方がわからなかった。」



妃響:「………・・・・・は?」




向き合い方がわからなかった?





父:「俺は未だにだけど父親ってものをよくわかってない。」



妃響:「………は、ん?父親……?」



父:「親父…妃響にとっておじいちゃん…は、俺の兄貴を跡継ぎとして育ててた。あれだな、朝妃と妃響と同じ。」



妃響:「あ、うん。跡継ぎね。」



父:「でも、兄貴は子供頃から親父が教える事に全部反発してな。見切りをつけたんだよ。それで、俺と優哉にその役が回ってきた。」

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