第84話

妃響:「恐れてた?何に対して?」


父:「悠妃だけではない。子供達と向き合う事を俺は、恐れてた。」


妃響:「…………それは、何?どんな理由があって?」



なんとなく、勘づいていた。



親父は、

俺や…朝妃だけではなくて。


竜妃達と向き合う事を…

父親としての役割を恐れていた。



菜緒ちゃん…

姉の死がキッカケなのだろうか。


子供の存在…向き合う事を恐れるって。



父:「妃響が言ってただろ。」


妃響:「俺が言ってた?何のこと?」


父:「誰にも言ってない姉と妹のこと。」


妃響:「あ、ああ…叔母さんのことね。うん、親父から聞いた事は無かったね。」


父:「姉が2人、妹が1人…それに俺と優哉の双子の兄弟が俺の家族…だった…って言っていいのか、わからんけど。」



言っていいのか、わからんけど…


ってどういう意味だ?



言葉を選びながら…

自分の兄弟のことを話す親父は

なんだか弱々しくて


触れてはいけない話なのかもしれない

って思ったりする。



でも、聞かないと…


俺達家族は前には進めない。

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