第59話

悠妃:「妃愛?」


妃愛:「……………………。」


悠妃:「泣いたっていいよ。」


妃愛:「………………。」


悠妃:「おいで。隠れ場案内する。」



静かに泣き出した

私を人目から避けるように


私を隠しながら


どこかへ向けて歩いていく。



翔馬はもちろんだけど


最近は、ひいくんやともくん……

悠妃くんにまで甘やかされてる。


それで、いいのだろうか…私は。




悠妃:「ひーめかっ!考えるなって!」


妃愛:「…………ばか。」


悠妃:「ばか!?ばかって…お前…お前…………否定はできないけど。」


妃愛:「いや、お兄ちゃん…否定してよ、そこは。」


悠妃:「お兄ちゃん…いいな、その呼び方。」


妃愛:「はっ?きっも……何、ニヤけてるの……きっも、お兄ちゃんきっも。」



悠妃くんが不器用ながら

笑わせようとしてくれるのがわかる。



多分、笑わせたり…

するのは得意ではないのだろう。


キョロキョロしながら

指で髪の毛をクルクルしたり

落ち着きがない行動をとっている。



悠妃くんも勇気出してくれたんだね。




妹である、私のために。



慣れないことを頑張って

元気づけようとしてくれている。



私も……


悠妃くんの思いを


受け止めないとだね。




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