愛妃 〜名前に託した想い〜 ✱下①✱ ―完結―

第58話

悠妃：「妃愛は、1人じゃないよ。」

妃愛：「…………私は、1人だよ。」

悠妃：「違う、1人になろうとしてるだけ。怖くて、目を逸らして…向き合おうとせず、楽なほうに行ってるだけ。」

妃愛：「………わからないよ、悠妃くんにはわからない！私の気持ちなんて…わかるわけ………わかるわけない……」

私の………

この16年間…………

逃げてるだけ

って言葉で

まとめないで。

どうして………

どうして、わかって貰えないの…

どうして、構うの………

悠妃：「わからないよ、俺は妃愛ではないから、わからない。妃愛、周りの人に理解してもらいたいなら、妃愛から歩み寄らないとわからない。」

妃愛：「………………」

悠妃：「相手にばかり求めて、妃愛は何もしないの？」

妃愛：「……………何も……………」

悠妃：「求めるだけでは何も変わらないよ。妃愛が行動に移さないと。待っているだけでは、何も変わらない。」

妃愛：「…………………………」

悠妃：「俺も兄ちゃん達に辛い気持ちわかってほしいって思うし、もちろん妃愛にも理解はしてほしい。」

妃愛：「…………うん………」

悠妃：「でも、俺が何も言わないと…何を思っているか、何が辛いのかわからないでしょ。言葉に表していないから。」

妃愛：「…………そうだね……」

悠妃：「上手く言えなくったっていいじゃん、まずはさ、我慢しないことからはじめてみようよ。最初の一歩だよ。」

妃愛：「………………………。」

最初の一歩

踏み出すまでが難しい。